概要
管理部門の理想人数と適正人数について、過去にコスト削減に本気で取り組んだ時の体験をもとに厳しめに書き綴ってみました。ちょっとでも気になった方は参考としてご一読頂ければと思います。
そもそも管理部門とは
製品を作ることはせず、製品や商品を売ることもせず、でも給料はもらうしパソコンも使うし空調や蛍光灯などの電気も使ったりする部門の事です。その性質から「コストセンター」などと言われたりします。一般的な部門名で言えば「人事部」「総務部」「経理部」「秘書室」「営業管理部」「情報システム部」などがそれに該当します。大抵は「管理本部」などの配下にまとめられますが、「秘書室」は経営層直属、「営業管理部」は営業本部所属だったりします。「情報システム部」も「情報システム本部」として大所帯を構え、「ネットワーク部」や「社内システム部」などに分かれるところもあったりします。企業規模や業種によって組織形態は様々ですが、売上と原価に直結しないという点は共通です。
※例外はあります。
管理部門は必要なのか?
現実的には必要ですが、理想だけ言えば不要です。
飲食店でもIT企業でも何でも良いので、小規模な事業を自分が起業したことを想像してみてください。
いきなり管理部門を作りますか?ほとんどの方は作らない(今は必要ない)と考える事でしょう。
ではその会社の事業を拡大させる場合はどうでしょうか?管理部門の事を最初に考えますか?
恐らくこれも考えないでしょう。優先して考えるべきは収益化のための戦略であり、管理部門の話は後回しになると思います。
上場企業の場合だと、子会社設立などの時にコンプライアンスやらガバナンスやらで形式的にでも相互牽制できる組織体系を最初から整えたりする事もありますが、ほとんどの場合管理系の組織の事は後回しにされます。
また、コスト削減を本気でやるなら「管理部門が無くても(あるいはごく少人数でも)業務が回る仕組みを作る事」が重要な考え方の一つになるため、様々な状況において管理部門の扱いは適当というか雑に考えられがちです。
以上の事から、管理部門の理想人数は0人と言うのが、現時点での私の結論です。
そんな事は現実的に不可能だとわかっていても、理想(目指すところの最終ゴール)は0人という設定の元、作業の自動化やAI化を図ることが、本当の意味でのコスト削減には必要と考えています。
※これを公の場で言うと管理部門の方々の気分を害する事必至なので、同感だと思ったとしても心に留めておいたほうが良いでしょう。
管理部門が必要だとして、どのくらいの人数が適正なのか?
全従業員の10%~20%という数字をよく見聞きします。
ネット検索しても出てきますし、コンサル系の人に聞いても出てくる数字ですですが、この数字って一体何を根拠に誰が算出したのでしょうか?正直私にはわかりません・・・
元はどこかの研究機関が色々と調べて算出した結果なんでしょうが、数字だけが独り歩きしているように感じており、なんら信憑性の無い数字と思ってます(とは言えプレゼン資料作る時には都合よく使ってます)。
個人的に思う適正人数は、パーセンテージではなく各部門に業務を把握している正社員2人を配属させ、足りない分は業務委託等で都度人数調整するやり方が、コスト面で考えた時に適切な体制だと考えています。
正社員が2人なのは、片方に何かあった時の保険と業務をブラックボックス化させないためです。1人にまかせてしまうと「何をやってるか誰もわからない」業務が出来上がってしまうからです。組織長は不要。どうしても必要なら2名のうちどちらかが担ってもよいし、誰かが兼任してもよいでしょう。
なぜそのような体制が良いのか、情報システム部(社内システムを自社開発する部門)で例えると、初期開発の時は人数が必要なので、それを理由に大量に雇用する場合があります。しかし、開発が終わって運用が落ち着いてしまうと、やる事がなくなってしまう人が出てきます。もちろん改修案件などで何人かの作業は発生しますが、開発初期程の人数は不要になります。
こうなった時、余った人は何をするのでしょうか?給料を払っているので遊ばせておくわけにはいかず、無理にでも仕事を作って何かをさせたりしますが、そういうのって大抵無駄な仕事になりがちです。
このような状況にさせないためにも、業務全体の管理とある程度の実務を行える人材を2人配置しておき、規模が大きい改修の時には必要に応じて外部に委託する体制を構築しておくことが、長期的に見た時の最適解であると考えています。
他の部門に関しても考え方は同じです。
これが現実
ここまで管理部門に対して色々と否定的な意見を書きましたが、別に管理部門が嫌いなわけではありません。私自身も管理部門に長く所属していましたので、同胞を貶すようなことは言いたくないのですが、上層部から見た時の管理部門は「売り上げに直結しないコストセンター」なのが現実です。
もちろん面と向かってそんなことを言う経営者はあまりいません。普段は「業務を円滑に回すために重要な役割」とか「縁の下の力持ち」とか言ってモチベーションを上げようとしてくる方が多いと思いますが、会社の業績が悪くなった途端、急激に風当たりが強くなります。
これは実体験で経験済みです。
悲しいですがまぎれもない事実なのです。
なので、管理部門で働く方々は「不遇な扱いを受けるリスクが高い」事を常に念頭に置き、何かあった際には早めに逃げられる(転職する)準備をしておく事を強く推奨します。
最後に
ここまで読んで頂き、「自分も管理部門所属だけど楽しくやってるよ」「管理部門の人数20%超えて全員正社員だけど毎年増えてるよ」と思った方、そんなあなたは業績良好で希少な優良ホワイト企業に勤めてる可能性が非常に高いです。多少の不満はあると思いますが、安易に転職を考えず今のところでもう少し耐えてみる事をお勧めします。
以上になりますが、今回の記事がどなたかのお役に立てば幸いです。