概要
1年の無料期間を利用してAWS(EC2)環境でEAを稼働させた感想です。VPSを検討されている方の参考になれば幸いです。
結論
求める内容で賛否は分かれます。以下のような運用ならお勧めです。
・頻繁に変更するパラメータ等が無い。
・相場の状況に関係なく動かしっぱなし。
・損益等の確認を頻繁に行わない。
・動かすEAは1つ。
逆に以下のような運用を想定している場合はお勧めしません。
・相場の状況によってパラメータを頻繁に変えたりする。
・暴騰暴落等の緊急事態でEAを止める可能性がある。
・複数のEAを稼働させる。
詳細/経緯
AWSを利用しようと思ったきっかけ
元々はEA専用のPCを用意しており、基本的に電源を落とさず24時間稼働させていましたが、SSDの故障をきっかけにVPSを検討したのが始まりです。この時は復旧までの数日間、メインPCでEAを稼働させられたので特に大きな機会損失はありませんでしたが、今後のリスクを考えるとVPSもありかなと考えつつ、でも費用対効果が無ければ意味ないし・・・と悩みながらVPSについて調べたところ、AWSが1年間無料で使用できる事を知り、試しにこの環境を使って結果が得られればそのままAWSをEAのVPS環境として利用する目論みでいました。
とりあえずデフォルト設定で構築
AWSのリージョン(環境を構築する地域)はデフォルトでオハイオになってましたが、とりあえずそのまま構築を進めました。少し手間ですがリージョンは後からでも変更できるので、あまり深く考えず進めましたがこれが失敗。
Windows環境なのでリモートデスクトップで繋ぐ事になりますが、画面の描画がストレスを感じるレベルで遅いです。もちろんリモートデスクトップ側で描画が遅くなる諸々の設定はオフにしており、回線速度もこの時は20Mbpsはでていたので、リージョンが原因の可能性は高いと思われます。
リージョンを東京に変更
とりあえずEAを稼働させる所まで頑張りましたが、レスポンスの遅さに我慢ができなかったのでリージョンを東京に変更したところ、結果は良好でした。操作に対してワンテンポ遅い感覚は残りましたが許容範囲内です。十分運用できるレベルなのでMT5環境を3つ構築して5つのEAを動作させてみました。インスタンスのメモリは1GBだったので少々不安でしたが、問題無く稼働しました。
1ヵ月を過ぎたあたりから問題が・・・
最初の1ヵ月くらいは何ら問題なく動作していました。リモートデスクトップで繋ぎっぱなしにしてても操作性が悪くなることはありませんでしたが、徐々に挙動が遅く重くなっていき、具体的な症状として以下のようなことが起こりました。
・リモートデスクトップのウインドウを最小化→最大化すると画面が黒くなって戻らない。
・MT5のアップデート処理に10分くらいかかる。
・画面の描画がとにかく遅い。
・インスタンスに繋がらない。
常にこのような状態というわけではなく、例えばインスタンスに繋がらなくなって2日後にあっさり繋がり、何もなかったようにサクサク動くようになったりします。また、インスタンスのCPU使用率が一時的に100%近くになる事があったのでEAを全て停止させましたが、使用率の挙動に変化はありませんでした。様子見も兼ねてその後はMT5を1つだけ動かし、EAも1つだけ動かすこととしました。
クライアント側の設定やスペック的な問題は特に見当たらなく、通信環境も特に問題があるレベルには思えず、原因の特定と解決ができないまま『使いにくい』という現状だけが残りました。
なんだかんだで1年利用し、そして停止
不満を持ちつつも結局1年使いました。新規開発や改修を続けるEAも、なるべくパラメータの変更を必要としないものをAWSで動かすようにしながら効果的な活用方法を模索し続け、そして1年が経過したタイミングでインスタンスを停止させました・・・。
理由は上部の『結論』に書いたとおりで、自分の今のEAには向いていないと判断したためです。インスタンスのスペックを上げればもしかしたら解決できるかもしれませんが、EAを動かすだけのPC(本体のみ)なら5~6万(3年利用で月々1,600円前後)で用意できると思うので、今の時点では自前で専用PCを用意する方が費用対効果は高いのかなと思い、AWS含めた有料版のVPS環境は一旦見送りすることとしました。AWSのサービスや通信環境は日々進化していますので、何れまた時が来たらVPSにチャレンジしてみたいと思っています。
以上になりますが、今回の記事がどなたかのお役に立てば幸いです。