概要
2022年8月10日に起こった事実を基に、FXのリスクを主観的な観点からなるべくイメージしやすい言葉で書いてみました。これからFXを始めようとしている方や、業者を探している方の一助になれば幸いです。
事の発端
日本時間の2022年8月10日 21時30分に、アメリカの7月消費者物価指数の発表がありました。ニュースなんかではCPIとかコアとか聞きなれない言葉を使ってたりしますが、イメージとしては「先月に比べて物価はどのくらい上がったの?」「昨年に比べて物価はどのくらい上がったの?」を数値で表したものになります。
ここ数ヵ月、アメリカの物価はどんどん上がっており「このまま上がり続けたら経済ヤバくね?」と思う人も増え、この消費者物価指数への関心がいつにも増して高まっている状況でした。
注目度が高い経済指標はその変動によって株価指数や原油価格などへ影響することがしばしばあり、FXも例外ではありません。具体的にどのくらいの変動で何にどんな影響がでるかは誰にもわかりませんが、事実として発表とほぼ同時にOANDAのUSD/JPYのスプレッドが440pips開くという事象が発生しました。
公式のお知らせ:https://www.oanda.jp/info/919
スプレッドって何?440pipsとは?
スプレッドを詳しく説明しているサイトは山ほどあるので、ここでは「業者が損をしないための仕組み」と表現しておきます。具体的には100円で売れるものを業者経由で101円で買う仕組み(つまり買った瞬間は-1円で、そのまま業者に売ると業者は1円儲かり、買った側は1円の損)。この差額の1円をスプレッドと言う、そんなイメージです。
当然ながらトレードする側にとってはスプレッドは狭いほど有利で、逆に広いほど不利(業者側は有利)となりますが、顧客獲得のために最近はスプレッドの狭さを謳い文句にしている業者も多く、条件付きでUSD/JPYのスプレッドを0.1銭(100円で売れるものを100.001円で買える)にしている業者も見かけたりします。
これらを踏まえて440pips(0.1銭の4,400倍)のスプレッド拡大を考察してみます。
USD/JPYの場合100pips=1円になりますので、440pips=4.4円。100円で売れるものを104.4円で買うイメージです。たった4.4円の差ですが、OANDAの取引は最低10,000通貨からなので、実際にはどんなに少なくても10,000倍した44,000円がスプレッドによる差額(マイナス)となります。
つまり運が悪いと10,000通貨注文直後に44,000円の含み損、100,000通貨だと440,000円の含み損が一瞬で発生することになります(恐ろしい・・・)。
また、逆指値(ストップロス)が440pips以下の場合、例えば逆指値を50pipsや100pipsに設定して注文してた場合は瞬時に狩られてしまいます(考えたくもない・・・)。
他にも、相当余裕のあるレバレッジでない場合はスプレッド拡大と共に即ロスカットとなります(実はこれをやらかしました・・・)。
という事から、FX歴はそんなに長くない私ですが、それでも440pipsはちょっとありえないというか、見た事も聞いた事もなく、そもそもこんなんやられたら利益を出すことなんて不可能じゃんって思うレベルのものです。
でもそれがFX
そんなわけで、440pipsという驚愕のスプレッドを叩き出したOANDAですが、可能性という観点では国内外問わず他の業者でもあり得る事象だと思います。と言うのも、スプレッドの上限や制限が記載されている契約書は見た事がありませんので、極端な例ですが1,000pips開いたとしても恐らく契約違反になることは無いんじゃないかと思います。取引ツールの内部ロジックはわかりませんし、最近は聞きませんが「ストップ狩り」なんて言葉もありますので、スプレッドという概念がある以上そういったリスクがあるのがFXだと考え、それらリスクを考慮して取引を行う必要があると思います。
もっとも、今はSNS等ですぐに情報が広がるため、悪意を持ってスプレッドを広げるような業者は少ないと思いますが、スプレッドが数百pips以上開くという事が現実に起こりえる事象であると証明されてしまったため、この事を十分肝に銘じておいたほうが良いでしょう(教訓として自分への戒め含む)。
それでもOANDAを使い続けるのか?人にお勧めできるか?
結論から言うと暫くは使います。
ずっと使い続けるかはわかりませんが、これを機に解約するつもりはありません。
そもそもOANDAを使い始めた理由はMT5が使える事で、国内業者でMT5を扱っているのはOANDA含めて現時点で2社しかありません。MT5は自作EAを動かせる唯一のプラットフォームなので、今回の件で感情的には残念な気持ちでいっぱいですが、代替先が少ないためとりあえずは使い続ける予定でいます。
ただ、OANDAを人に勧めるかと聞かれたら、答えはNOです。
スプレッドが440pips開くというリスクはしばらく払拭できませんし、詳細は割愛しますが補填対応も個人的には微妙なので、あえてここを勧める理由は現時点では特に見つかりません・・・。
最後に
色々と書き綴りましたが、どの業者にも一長一短あり、感情論も含め批判されている業者は多々あります。今回の件に関してはOANDAのHPに詳細が掲載されていますので、事の顛末が気になる方はご自身で確認したうえで、業者の良し悪しをご判断ください。
以上になりますが、今回の記事がどなたかのお役に立てば幸いです。